新薬の処方日数制限は必ずしも14日間ではない?!【新薬の処方日数制限について】

新しく薬価収載された医薬品、いわゆる新薬には、処方日数制限があります。

ほとんどの場合、その処方日数制限は14日間となっていますが、必ずしもそうではないこともあります。

では、どのような場合に処方日数制限が変わるのでしょうか?

今回は、新しく薬価収載された医薬品の処方日数制限についてのお話です。

 

一定の条件を満たした場合に処方日数制限は変わる

薬剤師であればご存知の方も多いかと思いますが、新しく薬価収載された医薬品いわゆる新薬の処方日数制限は原則1回、14日間となっています。

これには、「原則」という文言があるように、状況によっては14日間ではないこともあるということです。

一定の条件を満たした場合には、処方日数制限が14日間を超えて処方できます。

その条件については下記をご覧ください。

「新医薬品の処方日数制限の取扱いについて」

平成22年10月27日中医協了承において、「新医薬品の処方日数制限の取扱いについて」という新薬の処方日数制限の例外的な扱いをする基準が示されました。

その内容は以下のとおりです。

「新医薬品の処方日数制限の取扱いについて」(平成22年10月27日中医協了承)

新医薬品については、薬価基準収載の翌月の初日から1年間は、原則、1回14日分を限度として投与することとされているところである。しかしながら、当該処方日数制限を行うことが不合理と考えられる下記のような場合は例外的な取扱いとする。

① 同様の効能・効果、用法・用量の既収載品の組合せと考えられる新医療用配合剤など、有効成分にかかる効能・効果、用法・用量について、実質的に、既収載品によって1年以上の臨床使用経験があると認められる新医薬品については、新医薬品に係る処方日数制限を設けないこととする。

② 疾患の特性や、含有量が14日分を超える製剤のみが存在しているといった製剤上の特性から、1回の投薬期間が14日を超えることに合理性があり、かつ、投与初期から14日を超える投薬における安全性
が確認されている新医薬品については、薬価基準収載の翌月から1年間は、処方日数制限を、製剤の用法・用量から得られる最少日数に応じた日数とする。
○ 例外的な取扱いとする新医薬品は、個別に中医協の確認を得ることとする。

例外的な取扱い①【既収載品の組み合わせの配合剤】

近年、いくつかの有効成分を混ぜた配合剤といわれるものが増えてきています。

上記の①にあるように、既収載品の組み合わせによる配合剤については、含まれているすべて成分が既収載品として1年以上経過していれば処方日数制限はなくてもよいということです。

配合剤の成分のなかに1年経過していないものが含まれている場合には処方日数制限がされる可能性が高いということです。

ただし、すべての成分が既収載品として1年以上経過しているからといって無条件に処方日数制限がなくなるということではなく、個別に中医協の確認が必要となります。

 

例外的な取扱い➁【疾患や製剤の特性】

以下のような「疾患の特性」、「製剤上の特性」に該当する場合には、例外的に1回14日間を超えて処方される可能性があります。

【疾患の特性】

・生命維持に重要な器官など、生命を脅かす疾患である場合

承認された治療薬がほかにない場合  など

このように緊急性が高い疾患で、他に治療法が少ないような場合ですね。

【製剤上の特性】

吸湿性や安定性の問題からPTP包装にすることが難しくボトルのまま調剤するような製剤の場合  など

このような場合、処方される量によっては、ボトルの包装単位が14日分を超えてしまう可能性があり例外的な扱いとなることがあります。

ただし、どちらの場合にも臨床試験などにより14日間を超えて使用したときの安全性が許容できることが確認されていることも必要となります。

令和4年11月に薬価収載された「コセルゴカプセル10mg及び同カプセル25mg」は、神経線維腫症1型という生命を脅かす疾患であるとともに、吸湿性等の製剤の特性上、PTP等の1カプセルごとの包装が技術的に不可能で用法・用量上、減量が必要となる患者では14日間で1ボトル使い切ることができない可能性があるため例外的な取扱いとなり処方日数制限は1回28日間となりました。



この記事が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

最後までご覧頂きありがとうございました。

 

 

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