【一包化加算】を算定するための条件は? 注意すべき点などを薬剤師が解説

薬の飲み忘れや、飲み間違いの防止に役立つ【一包化】

薬局で高齢者の方の処方箋を多く取扱ってる薬局などでは、日常の業務の一環となっているのではないでしょうか。

必要に応じて【一包化】した場合には、【一包化加算】が算定できますが、その際の注意事項などを解説します。

一包化調剤したからといって全部【一包化加算】を算定できない

なんだか最近、一包化調剤をする患者さんが

増えたような気がするな。

日本も高齢化が進んでいるので、今後も

一包化調剤をする患者さんが増えるかもしれないですね。

ちなみに、【一包化加算】の算定条件はわかりますよね。

算定条件?!

え~と、服用時点の異なる2種類以上の・・・

忘れちゃった!

【一包化加算】の算定は、

レセコンが判別してくれることが多くなったので

忘れてしまった方もいるかもしれませんね。

では今一度、算定条件について確認しましょう。

一包化加算の算定条件は?

一包化加算の算定条件は以下のような場合に算定できます。

【一包化加算】は “服用時点の異なる2種類以上の内服用固形剤” または “1剤であっても3種類以上の内服用固形剤” を服用時点ごとに一包として患者さんに投与した場合に算定できる。

 

服用時点が異なるとは、「朝食後」や「夕食後」、「就寝前」といった薬を服用するタイミングのことです。

【一包化加算】の算定について、基本的な具体例をあげてみましょう。

【一包化加算】を算定できるケース

・アムロジピン錠5mg  1錠  朝食後

・ファモチジン錠10mg 2錠  朝夕食後

服用時点の異なる2種類以上の内服薬についての一包化となるので【一包化加算】は算定できます。

 

・アムロジピン錠5mg 1錠    朝食後

・カンデサルタン錠4mg 1錠   朝食後

・アトルバスタチン錠5mg 1錠  朝食後

服用時点は1つでも3種類以上の内服薬の一包化となるので【一包化加算】は算定できます。

【一包化加算】を算定できないケース

・エピナスチン錠20mg 1錠   朝食後

・アトルバスタチン錠5mg 1錠  夕食後

・モンテルカスト錠10mg 1錠  就寝前

服用時点は3つであるが、それぞれの薬の服用時点が重ならないため【一包化加算】は算定できない。

服用時点が2つ以上ある場合でも、それぞれの薬の服用時点が重なる部分がないと算定できない

上記のように一包化加算の算定要件を満たさない場合でも

処方医により、処方箋に一包化の指示が記載されていた場合は

一包化しなくてはなりません。

 

 

こんなときは【一包化加算】は算定できるの?

一包化する場合には、上記のように単純なものばかりではなく、以下のようにさまざまな条件が重なることもよくあります。

  • 散剤が含まれている
  • 半錠にしなければいけないものが含まれている
  • 吸湿性が高く一包化できないものが含まれている

ちょっと複雑なケースの【一包化加算】について解説していきます。

散剤を含む一包化の場合

・オルメサルタン錠20mg  1錠  朝食後

・プラバスタチン錠5mg 1錠    夕食後

・酸化マグネシウム   2.0g   毎食後

酸化マグネシウムと他の2種類とで服用時点が重なるため【一包化加算】は算定できます。

※散剤と錠剤が区別できるように別々に分包した場合には、それぞれをテープで張り付けるなど合わせて服用することがわかるように配慮しなければいけません。

半錠(自家製剤加算が算定できるもの)が含まれている場合

・ワルファリンK錠0.5mg  0.5錠 朝食後

・ロスバスタチン錠2.5mg  1錠    朝食後

・アムロジピン錠5mg   1錠      朝食後

・アルファカルシドールカプセル1μg 1カプセル 朝食後

1剤ですが3種類以上の薬があるので【一包化加算】は算定できます。

ワルファリンK錠0.5mgの半錠が単独であれば、【自家製剤加算】も算定することができますが、今回の事例はでは【一包化加算】の算定対象のなかに含まれているため、同時には、算定できません。

ワルファリンK錠が夕食後など、別の服用時点であれば同時に算定することができます。

一包化できない薬をヒート(PTP包装)のまま調剤した場合

・ベルソムラ錠15mg   1錠   就寝前

・酸化マグネシウム錠330mg 1錠 就寝前

・モンテルカスト錠10mg  1錠  就寝前

※ベルソムラ錠は光および湿気を避ける必要性があるためPTPシートのまま調剤

1剤ですが3種類あるので算定要件を満たしますが、ベルソムラ錠をPTPシートで調剤しているので一包化したのは2種類となり【一包化加算】は算定できません。

規格の違う同じ種類の薬が含まれている場合

・ワルファリンK錠0.5mg  1錠  朝食後

・ワルファリンK錠 1mg     1錠  朝食後

・オルメサルタン錠20mg   1錠  朝食後

1剤ですが3種類あるので算定要件を満たすように見えますが、ワルファリンK錠は規格が違うだけで合わせて1種類とみなされるため、全体としては2種類の一包化扱いになり、【一包化加算】は算定できません。

同一医療機関の別診療科の処方箋を同時に受付した場合、それぞれ単独では一包化加算の要件を満たさない場合でも合わせて一包化することで要件を満たすときは【一包化加算】を算定できる。ただし、別の医療機関の処方箋の場合は算定することはできない。

 


薬剤師が勝手に一包化をしてはいけない?!

この前、患者さんが希望していたから一包化したの!

患者さんも喜んでいたし、いいことしたな♪

それはよかったですね!

でも、その一包化ですが処方医に確認しましたか?

勝手に一包化加算を算定してはダメですよ。

えっ!?

算定要件を満たしていたのにダメなの?!

一包化加算を算定するには処方医の了承が必要です。

患者さんの希望による一包化加算はできないのです。

 

【一包化加算】は “治療上の必要性がある場合” のみ算定できる

一包化加算の条件に、“治療上の必要性が認められる場合” とされています。

この “治療上の必要性が認められる場合” とは、「身体機能の状態により服薬困難」、「飲み忘れが多い」、「飲み誤りが多い」といった事例が対象となります。

よって患者さんの希望だけによる一包化については【一包化加算】の算定はできません。

また、治療上の必要性が認められる場合であっても医師の了解を得たうえで行うものであるとされているので、薬剤師の判断のみで【一包化加算】は算定できないことになっています。

【一包化加算】の条件として “治療上の必要性が認められる” と医師が了解しなければならない

 

算定する場合には算定根拠を確認し記載をする

 

【一包化加算】を算定する場合、処方せんによる処方医の指示を確認するとともに、【一包化】の必要性を患者さんなどより情報収集し薬歴簿に記載しなければいけません。事由については “コンプライアンスの向上のため” といったものではなく「飲み忘れが多いため」、「飲み間違いが多いため」などといった具体的なことを記載する必要があります。

また情報収集した【一包化】の事由については、薬剤師同士が共有できるように薬歴簿の表紙などにわかりやすく記載することが望ましいとされています。

 

【一包化加算】は算定できないが、一包化はできる

では、“治療上の必要性がある場合”以外は一包化してはいけないのでしょうか。

患者さんの希望などに基づく一包化については【一包化加算】は算定できませんが、サービスとし行うことはできます。

【一包化加算】を算定せずにサービスとして行った一包化については、患者さんから実費(1包@円など)を徴収しても問題ありません。

実際には、【一包化加算】の条件を満たさない場合の一包化については、患者さんから実費徴収することなくサービスとして行っている施設が多いです。

 

参考記事⇒【頓服薬】何回分まで認められるの?【頓服薬】の取扱いについて薬剤師が解説

 



この記事が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

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