【セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)】どのようなものか知ってますか?

 

薬の飲み合わせで、よく問題となるセントジョーンズワート

(セイヨウオトギリソウ)ですが、

具体的にどのようなものなのか知っていますか?

欧米では馴染みのあるものですが、日本ではあまり見聞きすることは少ないかもしれません。

セント・ジョーンズ・ワートとはどのようなものか解説します。

 

セント・ジョーンズ・ワートはハーブの一種です。

黄色い花つける多年草の植物で、主にヨーロッパやアメリカに自生しています。

セイヨウオトギリソウとも呼ばれますが、これはセント・ジョーンズ・ワートの和名です。

欧米では、おもに地上部の部分を刈り取り乾燥させハーブティとして愛好されています。

日本でも観賞用もしくはハーブティなどの嗜好品として栽培している方もいます。

また、セント・ジョーンズ・ワートの成分を含んだサプリメントなども市販されています。

古代ギリシャでは精神疾患や神経痛の治療薬として

用いられた記録があります。

また、火傷や虫刺され用に塗り薬としても

使用されたこともあったようです。

 

セント・ジョーンズ・ワートはセイヨウオトギリソウとも呼ばれハーブの一種である。

 

セント・ジョーンズ・ワートは、うつ病に効果がある?!

おもに欧州でセント・ジョーンズ・ワートの抽出物は、

うつ病や不安解消に効果があるとして流通しています。

ただし、セント・ジョーンズ・ワートの抗うつ作用について、

その作用機序はよくわかっていません。

セロトニンの再吸収を阻害することによるものと考えられています。

つまり、医薬品として認可されているSSRI系の抗うつ薬と同じような作用があるということです。

日本でも “やる気をアップ” “気分がスッキリしない” 人向けへ

サプリメントなどで市販されています。 

オトギリソウとは違う品種である。

日本にもオトギリソウ(弟切草)というものが自生していますが、

セイヨウオトギリソウとオトギリソウ(弟切草)は品種が違います。

オトギリソウ(弟切草)も煎じて、オトギリソウ茶として親しまれています。

オトギリソウ茶は肝臓や血管に良い、またガン予防にもなるといわれています。

また、セイヨウオトギリソウと同じように不安を和らげる作用もあるとされています。

 

セント・ジョーンズ・ワートと薬の飲み合わせ

セント・ジョーンズ・ワートは

うつ症状などに効果があるみたいだけど

医薬品ではないの?

日本ではセント・ジョーンズ・ワートは

あくまで私たちの健康をサポートする食品という扱いです。

他の医薬品との相互作用もあるようだし、

医薬品として取り扱ってもいいものな感じがするけど・・・

セント・ジョーンズ・ワートを医薬品として

認可している国もありますよ。

 

セント・ジョーンズ・ワートを医薬品として認可している国もある

ドイツをはじめとして欧州の国々では、セント・ジョーンズ・ワートを

軽症~中等症のうつ症状の改善治療薬として認可され、一般的な治療として広く使用されています。

ただ、アメリカでは治療薬としては認可されておらず、

日本と同じように、“気分を向上させるサプリメント” として使用されています。

国によって、その評価分かれているのが現状です。

欧州では古くから使用されてきたものであり、

セント・ジョーンズ・ワートについて

積極的に研究や臨床試験などが行われた結果、

医薬品として認可されている側面もあります。

安全性の高いがもので副作用はほとんどないといわれるセント・ジョーンズ・ワートですが、

まれに胃腸障害や倦怠感、光過敏症が起こる可能性があると指摘されています。

ただし、標準的な摂取量であれば、これらの副作用が起こることは非常にまれです。

 

問題となる薬の飲み合わせ

セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)で問題となるのが、薬との飲みあわせです。

セント・ジョーンズ・ワートは薬物代謝酵素であるシトクロムP450を誘導するため、

この酵素で代謝される多くの医薬品との相互作用が知られている。

代謝酵素の誘導とは、すなわち代謝酵素の働きを強めて、

結果それによって代謝される医薬品の効果を減弱させてしまうことです。

シトクロムP450で代謝される医薬品は、セント・ジョーンズ・ワートとの相互作用に注意が必要

 

代謝酵素のうち、特に「CYP3A4」および「CYP1A2」が誘導され、インジナビル(抗HIV薬)、ジゴキシン(強心薬)、シクロスポリン(免疫抑制薬)、テオフィリン(気管支拡張薬)、ワルファリン(血液凝固防止薬)、経口避妊薬の効果を減弱させる可能性があります。

このうちシクロスポリンについては臓器移植をした患者さんで、セント・ジョーンズ・ワートを服用したのちにシクロスポリンの血中濃度が低下し急性拒絶反応が認められたとの報告があります。

医薬品名 相互作用 想定される機序
アミトリプチン 血中アミトリプチン濃度の低下 CYP3A4およびP-gpの誘導
ミラゾラム 血中ミタゾラム濃度のの低下 CYP3A4 誘導
シクロスポリン 血中シクロスポリン濃度の低下 CYP 誘導
テオフィリン 血中テオフィリン濃度の低下 CYP 誘導
イマチニブ 血中イマチニブ濃度の低下 CYP 誘導
ワルファリン 抗血液凝固作用の低下 CYP 誘導
ジゴキシン 血中ジゴキシン濃度の低下 P-gp 誘導
インジナビル 血中インジナビル濃度の低下 CYP 誘導
イリノテカン SN-38濃度の低下 酵素およびP-gpの調節
メサドン メサドン濃度の低下 CYP 誘導
経口避妊薬 中間期出血 CYP 誘導
ロペラミド 急性せん妄症状の発現 MAO阻害
シンバスタチン 血中シンバスタチンヒドロキシ酸濃度の低下 CYP 誘導
ネファゾドン 吐き気,嘔吐,頭痛 セロトニン取り込み阻害
セルトラリン 吐き気,嘔吐,頭痛,精神錯乱 セロトニン取り込み阻害
パロキセチン 吐き気,衰弱,倦怠感 セロトニン取り込み阻害
※CYP:シロクロムP450, P-gp:P-糖タンパク質, MAO:モノアミン酸化酵素

このように医薬品の効果が減弱することによって本来の効果が弱まってしまう可能性もありますので、

セント・ジョーンズ・ワートとの飲み合わせについては注意しましょう。

参考記事⇒ハーブと薬は一緒に飲んではいけない!?【天然植物系サプリメントと飲みあわせをチェック!】

 

この記事が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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