ハーブと薬は一緒に飲んではいけない!?【天然植物系サプリメントと飲みあわせをチェック!】薬剤師が解説します。

サプリメントにはビタミン類やミネラル類など、いろいろな種類があります。

健康志向の高まりによって、サプリメントを使用されている方も多いと思います。

リラックス作用があるハーブ系のサプリメントも人気がありますが、なかには飲み合わせが悪い薬があります。

今回は、そのなかでも天然植物系のサプリメントと医薬品の相互作用について薬剤師が解説します。

セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)

セイヨウオトギリソウは、セント・ジョーンズ・ワートの和名で、

ヨーロッパはアメリカに自生している多年草の植物です。

乾燥させハーブティとして愛好されています。

古代より使用されていたもので、

抗うつ作用や抗不安作用があるとされています。

>>関連記事:【セント・ジョーンズ・ワート(セイヨウオトギリソウ)】どのようなものか知ってますか?

セイヨウオトギリソウと併用に注意が必要な医薬品

セイヨウオトギリソウは薬物代謝酵素であるシトクロムP450を誘導するため、

この酵素で代謝される多くの医薬品との相互作用が知られています。

シトクロムP450を誘導、つまりはこの酵素の活性を強めるため

この酵素で代謝される医薬品の効果を弱める可能性があります。

セイヨウオトギリソウと併用に注意が必要な医薬品

・気管支拡張薬(テオフィリン,アミノフィリン)、抗てんかん薬(フェニトイン製剤,カルバマゼピン,フェノバルビタール)、強心薬(ジゴキシン,ジギトキシン,メチルジゴキシン)、抗不整脈薬(塩酸アミオダロン,硫酸キニジン,ジソピラミド,塩酸プロパフェノン)、免疫抑制薬(シクロスポリン,タクロリムス,エベロリムス)、抗悪性腫瘍薬(ゲフィチニブ,メシル酸イマチニブ)、抗真菌薬(ボリコナゾール)、卵胞ホルモン薬(エストラジオール)、血液凝固防止薬(ワルファリン)、抗HIV薬

 ⇒これら医薬品の代謝が促進され血中濃度が低下する可能性があります。

 

・テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリン)、解熱鎮痛薬(ピロキシカム)

 ⇒セイヨウオトギリソウの成分に光増感作用があり、光過敏症が起こる可能性があります。

※これらを併用している場合は直射日光をできるだけ避けるようにしましょう。

これらの医薬品とセイヨウオトギリソウを、すでに併用している場合には、セイヨウオトギリソウを急に中止すると、医薬品の血中濃度が上昇して副作用が出る可能性もありますので、徐々に減量するなど注意する必要があります。

 

 

イチョウ葉エキス

公園や街路樹など、いろいろなところで見かける銀杏、

扇形の葉で、知っているかたも多いかと思います。

銀杏の種子である銀杏は、茶碗蒸しなど食用としてよく食べられていますね。

この銀杏の緑葉から抽出したものがイチョウ葉エキスです。

ヨーロッパでは、血液の流れを改善するものとして、

医薬品として使用されている国もあります。

 

イチョウ葉エキスと併用に注意が必要な医薬品

イチョウ葉エキスには血液をサラサラにする作用があるため、

同様の効果がある医薬品の併用は注意が必要です。

イチョウ葉エキスと併用に注意が必要な医薬品

・血液凝固防止薬(血栓防止薬)(ワルファリンカリウム,アスピリン,チクロピジン,クロピドグレルなど)、解熱鎮痛薬(イブプロフェン,アスピリン,アセトアミノフェンなど

 ⇒イチョウ葉エキスに抗血小板作用があり、併用により出血傾向が強くなる可能性があります。

 

糖尿病治療薬

 ⇒血糖降下作用が増強される可能性があります。

カモミール

カモミールは白い花が特徴のキク科の植物で、

古くからハーブティーなどとして愛好されています。

やさしい口当たりと、フルーティィな香りで人気のあるハーブです。

気持ちを落ち着かせる鎮静作用や抗炎症作用があるとされています。

カモミールと併用に注意が必要な医薬品

カモミールと併用に注意が必要な医薬品

・血液凝固防止薬(血栓防止薬)(ワルファリンカリウム,アスピリン,チクロピジン,クロピドグレルなど

 ⇒カモミール中に含まれるクマリンに抗血液凝固作用があり、作用が増強される可能性があります。

朝鮮人参(オタネニンジン)

朝鮮人参はオタネニンジンともいわれ、

中国では古くから強壮剤として用いられてきました。

滋養強壮薬、薬用酒また漢方薬にもよく含まれています。

さまざまな効果があるとされていますが、

主なものとして、滋養強壮、疲労回復、強心作用などがあります。

朝鮮人参(オタネニンジン)と併用に注意が必要な医薬品

朝鮮人参(オタネニンジン)と併用に注意が必要な医薬品

・血液凝固防止薬(血栓防止薬)(ワルファリンカリウム,アスピリン,チクロピジン,クロピドグレルなど

 ⇒朝鮮人参に抗血小板作用があり、併用により出血傾向が強くなる可能性があります。

 

糖尿病治療薬

 ⇒血糖降下作用が増強される可能性があります。

朝鮮人参にはエストロゲン様効果があると考えられ、乳がん・子宮がん・卵巣がん・子宮内膜症・子宮筋腫の患者さんについては摂取を避けることが望ましいです。

クマザサ

クマザサはイネ科の植物で、山地に生息しています。

乾燥した葉は煎じて健康茶にされたり、

高血圧や糖尿病に効果がある健康食品として市販されていますが、有効性について信頼できるデータがないという研究報告もあります。

クマザサと併用に注意が必要な医薬品

クマザサと併用に注意が必要な医薬品

・血液凝固防止薬(ワルファリン

 ⇒クマザサにはビタミンKを含まれるため、ワルファリンの作用が減弱する可能性があります。

 

 

オオバコは高地から平地まで、道端でよく生えている野草です。

若葉はダイエット食品の材料として使用されることもあります。

葉や種子には、咳止めの効果もあるとされています。

オオバコの成熟種子を車前子(しゃぜんし)といい、

牛車腎気丸ごしゃじんきがんりがな竜胆瀉肝湯りゅうたんしゃかんとうなどの漢方薬に含まれています。

オオバコと併用に注意が必要な医薬品

オオバコと併用に注意が必要な医薬品

そう病薬(炭酸リチウム

 ⇒作用が弱くなる可能性があります。

エキナセア

エキナセアはキク科の植物で、

ムラサキバレンギクともいわれます。

古くからネイティブ・アメリカンに薬草として使用されてきました。

現在でもハーブティとして、欧米ではとても人気があります。

免疫力強化作用によって風邪などの感染症予防、

喘息や肺炎など呼吸器系の症状改善、

痛みを和らげる鎮痛作用など、

さまざまな作用があるとされています。

エキナセアと併用に注意が必要な医薬品

エキナセアと併用に注意が必要な医薬品

免疫抑制薬(プレドニゾロン,シクロスポリン,アザチオプリン,メトトレキサートなど)

 ⇒エキナセアに免疫賦活作用があるため、医薬品の作用が弱くなる可能性があります。

 

カフェイン

 ⇒エキナセアにカフェイン誘導体が含まれているため血中のカフェイン濃度が高まり、頭痛や動機などがあらわれる可能性があります。

バレリアン

バレリアンは吉草またはセイヨウカノコソウとも呼ばれ、

古くから使用されてきたハーブです。

さまざまな効果があるとされていますが、

主なものとして、鎮静作用があり不眠の改善や不安を和らげる効果があるとされます。

バレリアンと併用に注意が必要な医薬品

バレリアンと併用に注意が必要な医薬品

・睡眠薬、抗不安薬、抗ヒスタミン薬

 ⇒バレリアンの鎮静作用との相加作用により作用が強くなる可能性があります。

ガルシニア・カンボジア

ガルシニア・カンボジアはオトギリソウ科の常緑樹で、

熟果は生食、乾燥果皮はスパイスとして利用されます。

インドや東南アジアでは、古くからスパイスとして使用されてきました。

食欲と脂肪の組成を抑える効果があるとされています。

ガルシニア・カンボジアと併用に注意が必要な医薬品

ガルシニア・カンボジアと併用に注意が必要な医薬品

・アスピリン

 ⇒血中アスピリン濃度が上昇する可能性があります

フィーバーフュー

フィーバーフューはナツシロギクともよばれ、

ヨーロッパなどでは薬用ハーブとして育てられてきました。

解熱作用や抗炎症作用があるとされていますが、

これらの効果については十分な科学的根拠がありません。

フィーバーフューと併用に注意が必要な医薬品

フィーバーフューと併用に注意が必要な医薬品

・血液凝固防止薬(血栓防止薬)(ワルファリン,アスピリン,チクロピジン,クロピドグレルなど)、解熱鎮痛剤(アスピリン,アセトアミノフェンなど

 ⇒フィーバーフューに抗血小板作用があり、併用すると出血傾向が強くなる可能性があります。

 

この記事が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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