薬剤師は自分の処方せんを自ら調剤することはできるの?

薬剤師が処方箋に基づいて調剤をする。

そんなこと当たり前でしょ、と思われるかもしれませんが、

では薬剤師が医療機関を受診し、処方箋を発行された場合に

自分自身の処方箋を自ら調剤することはできるのでしょうか?

今回は自家調剤について解説します。

 

自分で調剤することを規制する法律はない

風邪をひいてしまって、処方箋を発行してもらったけど

自分の処方箋を調剤してもいいのかな?

薬剤師が発行された自分の処方箋を

身近ら調剤することを自家調剤といいますが、

それを規制する法律はありません。

それじゃ、いつものように調剤して

自分で確認して服用しても問題ないのね。

自分自身で調剤することは問題ありませんが、

取り扱いは他の処方箋と違う部分があるので注意が必要です。

薬剤師が本人の処方箋を調剤することを自家調剤という

薬剤師が本人の処方箋を自ら調剤することを自家調剤といいます。

また、薬剤師の家族の処方箋を調剤する場合や、

勤務先の従業員(その家族)の処方箋を調剤する場合も

自家調剤として扱われます。

要するに薬剤師が普段よく接している人への調剤は、

通常、取り扱っている処方箋とは違いますよと区別しているのです。

自家調剤を規制する法律はない

薬担規則10条の2(適正な費用の請求の確保)において 
“請求は適正なものとなるように努めなければならない” 
とは記載されていますが
法律で自家調剤を規制するものはありません
つまり薬剤師が本人の処方箋を自ら調剤することは問題ないのです。
また、上記の該当するような場合であっても、その処方箋を調剤することも同様に問題ありません。
 
ちなみに医師が自分自身を診療することを自己診療といいますが、
“医師は自分自身を客観的に診療することはできない”とされ
自己診療は禁止されていると聞いたことがある人もいるかもしれません。
 
一般的には、“医師が自らを客観的に妥当適切に診察し治療することはできない”とされていますが、
これは保険ルール上の禁止であって、保険請求をしない場合の自己診療は問題とならない場合もあります。
 
また、医師がその家族などを診察し治療することを自家診療といいますが、
これについて認めるかは加入する医療保険制度の保険者により異なります。

自家調剤は問題ないが保険請求には制限がある

薬剤師が本人の処方箋を自ら調剤するといった自家調剤は問題ありませんが、

保険請求する際は、ほかの処方箋とは扱いが異なることがあるので注意が必要です。

保険請求する際には、調剤基本料や調剤料、薬剤料、薬学管理料など計算しますが、

その中で、薬学管理料などは自家調剤では算定できない項目があります。

“薬剤師が自分で使用する薬を自分に説明する” 

確かにこれで保険請求するというのは無理がありますね。

自家調剤制限規定とは?

“薬剤師が自分の薬を自分に説明する”というのは、認められないのは理解できますが、

では、家族の場合ではどうでしょう?

薬剤師でない家族であれば、薬の説明をするなどし適切に管理できれば算定してもいいのでは?とも考えられますが、

基本的には、これも算定できません。

薬剤師の家族や勤務先の従業員へは

いつでも相談などできるのだから説明とかいらないでしょ?!

ということなのでしょうね。

自家調剤について、どの項目を認めるかなどは各保険者が “自家調剤制限規定” をつくり制限を設けています。

この “自家調剤制限規定” は各都道府県の薬剤師国民健康保険組合のものを基準にしていることが多く、その制限項目については若干異なることがありますが、ほとんどの制限項目は同じになっています。

参考:埼玉県薬剤師国民健康保険組合の自家調剤に係る制限事項jikatyouzai-bepyou

このように埼玉県では、自家調剤に該当する場合は調剤基本料と薬剤料くらいしか算定が認められていないのです。

 

各都道府県の薬剤師国民健康保険組合で算定を認めている項目は違う場合があるので自家調剤に該当する場合にはそれぞれの組合の規定を確認するようにしましょう。

自家調剤の実際は?

薬剤師国保に加入されている方の保険請求については、

各都道府県の薬剤師国民健康保険組合で設けられている 

“自家調剤制限規定” にそって適正に算定されていない場合には

レセプトの審査で返戻になる可能性が高いです。

一方で、チェーン展開する薬局などで勤務する方が加入する健保組合などの保険請求については、

社会保険診療報酬支払基金(支払基金)で自家調剤なのかを判別するのは難しいためレセプトの審査により返戻となる可能性は低くなります。

ただし、薬剤師国保に限らず自家調剤については健保組合でも好ましいことではないとされていますし、また個別指導などがあった場合には、算定不可として指導されることがあります。

薬歴未記載問題など不正請求を疑われた場合、企業としてイメージも悪くなるため自家調剤についても “自家調剤制限規定” にそって算定をしているところも多いようです。

この記事が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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