添付文書で「特定の背景を有する患者に関する注意」でよく目にする肝機能障害患者という文言。
肝機能障害患者というのは、AST(GOT)、ALP(GPT)のこと? それともγ-GTPのこと?
肝機能障害患者というのは、何か基準があるのでしょうか。
今回は添付文書の注意事項における肝機能障害患者についてのお話です。
「肝機能障害」の定義は場合により異なる
肝機能障害の定義は、医薬品の種類や患者さんの状態によって異なりますが、Child-Pugh分類を参考にして肝機能の状態を評価することがあります。
ただし、添付文書に明確な記載がある場合にはそれに従います。
Child-Pugh分類は、肝硬変などの慢性肝疾患の予後を評価するための指標に使用されるもので、項目ごとにスコア判定をし、その合計したもので肝機能の状態を評価するものです。
Child-Pugh分類とは?
前述のとおりChild-Pugh分類は、肝硬変などの慢性肝疾患の予後を評価するための指標に使用されるもので、項目ごとにスコア判定をし、その合計したもので肝機能の状態を評価するものです。
この分類では以下の5つの項目を評価して肝機能の状態を評価します。
1. 脳症:無い(1点)、軽度(2点)、時々昏睡(3点)
2. 腹水:無い(1点)、少量(2点)、中等量(3点)
3. 血清ビリルビン値(mg/dL):2未満(1点)、2-3(2点)、3超(3点)
4. 血清アルブミン値(g/dL):3.5超(1点)、2.8-3.5(2点)、2.8未満(3点)
5. プロトロンビン活性値(%):70超(1点)、40-70(2点)、40未満(3点)
これらのスコアを合計し、以下のように肝機能障害の程度を分類します²。
– A: 5~6点 (軽度)
– B: 7~9点 (中等度)
– C: 10~15点 (重度)
あくまで肝機能の状態を評価する指標のひとつですので、患者さんの状況に応じて判断してくことになります。
肝障害のリスクがある薬剤は定期的な検査を
肝機能障害のリスクが高い薬剤については、投与前と投与中に定期的に肝機能検査を行う必要があります。
検査の頻度については、薬剤ごとに違います。
この場合には、上記のChild-Pugh分類ではなく、一般的な肝機能検査でみられるAST(GOT)、ALP(GPT)やγ-GTPの値をみて判断されることが多いです。
AST(GOT)、ALP(GPT)およびγ-GTPの基準値の目安は以下のようになります。
AST(GOT)・・・30以下
ALP(GPT)・・・30以下
γ-GTP・・・50以下
※基準値は検査機関によって異なることがあります。
上記の基準値はあくまで目安であり、この値より高くても治療上の有益性を考慮して継続もしくは中止などの判断をします。
この記事が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
最後までご覧頂きありがとうございました。