【適宜増減】とは?きちんと答えられる人が意外と少ない添付文書の文言を薬剤師が解説

 

 

添付文書でよく見る【適宜増減】ですが、どういうものかわかりますか。

よく見るものですが、きちんと答えられる人は少ないものです。

今回は、その【適宜増減】について、どういったものか注意点などを含めて解説します。

適宜増減は投与量を調節するということ

【適宜増減】ってすごい曖昧だけど、

どれくらいだったら認められるの?

確かに【適宜増減】と言われても難しいですよね。

最大でどれくらいまでと記載してくれた方がわかりやすいですよね。

通常の3倍とかは大丈夫なのかな?

通常の3倍はちょっと多いかもしれないですね。

では、【適宜増減】について解説しますね。

 

【適宜増減】とは?

【適宜増減】とは患者さんの症状や年齢など状況に応じて、最も適した投与量を調節するということです。

医薬品の種類によっては患者さんの状況(肝臓や腎臓の機能が低下しているなど)に応じて投与量を変えなければならないものが数多くあります。このような医薬品には【適宜増減】としてそれぞれの患者さんに適した投与量で処方されることになります。

【適宜増減】とは症状や状態に合わせて投与量を調節することである。

当然のことですが、医薬品はそれが最も安全にかつ効果が得られるように用法用量が決められており、それをきちんと守って処方そして服用することが基本です。

 

増減の許容範囲はどのくらい?

では、【適宜増減】と記載があればいくらでも増やしてよいのでしょう。

患者さんの状況によってちがいますが【適宜増減】の増量となる場合には、通常2倍程度までとされることが多いようです。ですので、いくら【適宜増減】と記載されているからといって通常の5倍などが処方されていた場合には、処方医へ疑義照会が必要となるでしょう。

減量となる場合には、目安はありませんが通常の半分や10分の1であっても処方医が認めれば問題ありません。

ただし、【適宜増減】と記載されていても明らかに通常の投与量より多い、もしくは少ない場合には、記載ミスや入力ミスなども十分に考えられるので処方医へ疑義照会が必要です。

 

投与回数の変更は不可

ここで注意しなければいけないのが、【適宜増減】というのは1日の投与量を増減させても良いということであって、1日の服用回数を変更しても良いということではないのです。

医師の判断で、1日の服用回数を変更することもありますが、これは【適宜増減】の意味とは異なるため、添付文書と異なる服用回数の場合には医師への疑義照会が必要となります。

お子さんの薬などでは学校などがあって昼にお薬を飲ませるのが難しいので、1日3回の薬を1日2回に変更しているといった処方せんを経験上よくみられます。

1回2錠で1日2回服用する薬を1回1錠で1日2回服用する場合には、【適宜増減】として認められますが、1回2錠で1日1回服用となると服用する量は同じでも服用回数が変わってしまうので【適宜増減】としては認められません。

【適宜増減】とは投与量の調節であって、投与回数の変更はできない

添付文書に【適宜増減】と記載されていない医薬品でも医師の裁量で1日の投与量を変更することもありますが、この場合も添付文書の用法用量と異なるため疑義照会が必要となります。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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