糖尿病の治療薬である“メトホルミン”に抗がん作用がある!? 今後の研究に期待!!

“メトホルミン” は糖尿病の治療薬です。

安価で安全性も高く、多くの人が使用している医薬品です。

その “メトホルミン” に抗がん作用があるかもしれないのです。

新たな治療法として期待される “メトホルミンの抗がん作用” についての話です。

 

糖尿病治療薬 “メトホルミン”

メトホルミンは1950年代から使用されており、安価で副作用も少なく使用実績の多い医薬品です。

日本だけでなく欧米諸国でも、広く使用されている医薬品で、米国糖尿病学会(ADA)と欧州糖尿病学会(EASD)のガイドラインでは、糖尿病治療薬の第一選択薬に位置付けられています。

“メトホルミン” の3つの血糖値降下作用

糖新生の抑制・・・肝臓での糖が作られるのを抑制する。

糖利用の促進・・・筋肉など末梢の組織での糖の利用を促進させる。

糖の吸収抑制・・・腸管からの糖の吸収を抑制する。

糖尿病治療薬には様々な種類のものがありますが、“メトホルミン” はインスリン分泌の影響を与えずに血糖値を下げる治療薬です。

 

糖尿病の人は、がんの発症リスクが高い?!

糖尿病を発症している人は、がんの発症リスクが高いといわれています。

インスリンもしくはインスリン様成長因子が、がんの増殖に関わっていると考えられています。

インスリンそのものに発がん性があるわけではなく、インスリンの濃度が高い状態が続くことが問題であると考えられています。

 

2型糖尿病においては、インスリン濃度は治療を開始する前から比較的に長い間、血液中のインスリン濃度が高い状態にあったと想定され、この状態がリスクとなっていると考えられます。

インスリンの濃度以外にも、高血糖そのものによる酸化ストレスが発がん性に関わっているともいわれています。

また、糖尿病患者では暴飲暴食などにより肥満となることで、がんのリスクを上昇させるているともいわれています。

 

“メトホルミン” を服用している人は、がんの罹患率が低い?!

糖尿病治療薬である “メトホルミン” を服用している人は、がんの罹患率が低いということが経験的にいわれていました。

糖尿病ではない正常なマウスにガン細胞を移植し、がんを発症した状態にしたマウスに、メトホルミンを投与したところ、がん細胞が縮小するという研究データもあります。

世界各国の追跡調査において、メトホルミンを服用している人は、さまざまな部位のがんにおいて、メトホルミンを服用していなかった人に比べて発症リスクが低かったというデータが報告されています。

欧米で60年以上にわたり使用されてきた “メトホルミン” ですが、さまざまな作用機序がはっきりしてきたのは最近のことなのです。

今後も研究が進むにつれて、抗がん作用など色々なことがわかってくるかもしれません。

 

“メトホルミン” の抗がん作用とは?

主に糖尿病治療薬として世界各国で広く使用されている “メトホルミン” ですが、がんのリスクを低下させる可能性があると期待されています。

“メトホルミン” の抗がん作用については動物実験だけでなく、さまざまな無作為化比較試験においても、その効果が示唆されています。

現在も種々のがんについて臨床研究などが進められています。

“メトホルミン” の抗がん作用については、糖尿病患者以外の人でも効果が期待できるといわれ、今後のがん治療において有効な選択肢が増える可能性があります。

 

“メトホルミン” の抗がん作用機序は?

“メトホルミン” の抗がん作用については、世界各国で研究が進められています。

作用機序については、さまざまなものが指摘されており今後も新たな発見があるかもしれません。

すべてが解明されたわけではありませんが、さまざまな研究から “メトホルミン” は主に以下のような作用により抗がん作用を示すものと考えられています。

“メトホルミン” の抗がん作用

・インスリン抵抗性を改善(インスリンの感受性を高める)することで、血液中のインスリン濃度を低下させる。

・細胞のエネルギー産生に関係する酵素のAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化する。

・ガン細胞を攻撃する免疫細胞の“細胞障害性T細胞”を活性化する。

上記に記載されている “メトホルミン” の抗がん作用を簡単にいうと、わたしたちの体内にある免疫細胞を活性化させて、がん細胞を攻撃するようにさせるのです。

 

血中のインスリン濃度を急上昇させないことが重要!

インスリンは血糖値をコントロールするために重要なものですが、インスリン濃度が高い状態が続くことは肥満を招いたり、がんの発症リスクを上昇させる危険性が高まります。

インスリンは急激に上昇させないことが重要です。

過食や早食いは、血糖値を急激に上昇させます。それに伴いインスリンの分泌も急激に促され、血中のインスリンの濃度が高い状態になる危険性があります。

適量をゆっくり食べること、野菜など炭水化物や糖質を多く含まないものから先に食べることで血糖値の急激な上昇を防ぐことができます。

 

血中インスリン濃度が低下すると血圧も下がります。

これは、血中のインスリン濃度の低下によって体内の余分なナトリウムを水分と一緒に排出する仕組みが働くことによって起こる現象です。

このように血中のインスリン濃度を急上昇させないことは、さまざまな面から有益なことなのです。

 

この記事が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

最後までご覧頂きありがとうございました。



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