調剤薬局などで勤務されている薬剤師さんであれば
保険薬剤師とは何か当然わかりますよね?
ん?!わからない??
保険調剤に携わって間もない薬剤師さんなどはよくわからないという人もいるかもしれませんので、保険薬剤師とは今一度、確認してみてください。
薬剤師と保険薬剤師は違うもの?
先日、新しい薬剤師が入社したんだけど
できる業務はしばらく限られてしまうみたい。
薬剤師だから調剤したり、
患者さんへお薬を渡したりしてもいいんじゃないの?
それは、保険薬剤師の登録ができていないからではないですか?
薬剤師の資格だけでは保険調剤薬局では勤務できませんよ。
保険薬剤師?薬剤師とは違うもの??
わたし、薬剤師の国家試験以外に試験など受けた記憶はないけど
保険薬剤師とは、厚生労働大臣の登録を受けた薬剤師のことですよ。
では、保険薬剤師がどのようなものか解説します。
保険薬剤師とは、保険薬局において保険調剤する薬剤師
保険薬剤師は、健康保険法第64条に以下のように記されています。
保険薬局において健康保険の調剤に従事する薬剤師は、厚生労
働大臣の登録を受けた薬剤師(「保険薬剤師」)でなければならない。
健康保険の調剤とは保険証(健康保険)を使用して発行された処方せんを調剤することです。
風邪などで医療機関を受診する際に、保険証を提示しますよね。その後、発行された保険証の記号・番号が記載された処方せんです。
保険薬剤師は薬剤師免許を取得することにより自動的に登録されるものではなく、薬剤師自らの意思によって申請し認可を受ける必要があります。
製薬企業などで勤務されている薬剤師さんは、
通常は健康保険に関係する業務をすることがないので
保険薬剤師の登録をしていないことが多いです。
ドラッグストアなどで販売されている一般用医薬品(OTC)や漢方薬(処方せんによらないもの)のみを扱う場合には保健薬剤師でなくても業務を行うことができます。
最近はドラッグストアでも処方せんを取り扱う店舗が増えてきていますので、ドラッグストアで勤務する薬剤師さんも保険薬剤師の登録をされる方が多いです。
申請はいつするの?費用は?
保険薬剤師の申請は、薬剤師免許を取得した後であればいつでも行うことができます。
薬剤師免許を取得したのが10年前で、それから保険薬剤師の申請といった場合でも全く問題ありません。
薬剤師免許を取得する際には、登録免許税(¥30,000)がかかりますが、保険薬剤師は申請費用などは一切かかりません。
こうして保険薬剤師に登録されることによって、はじめて健康保険(社会保険や国民健康保険など)を使った処方箋を取り扱うことができるようになります。
ほとんどの場合、保険薬剤師の申請は勤務先の薬局などで
代行してもらえることが多いため心配いりません。
薬剤師免許を取得する際には薬剤師国家試験に合格する必要がありますが、保険薬剤師は必要書類等を地方厚生(支)局長あての申請書類を提出するのみで試験などはありません。
そして、保険薬剤師として登録されれば一生涯有効となります。
不正行為をして保険薬剤師の取り消し!?
保険薬剤師は一生涯有効ならずっと薬局で働けるね!
いつまで働こうかなぁ♪
仕事熱心でいいですね!
でも、保険薬剤師の登録を取り消されることもあるので
気を付けてくださいね。
取り消される!?
更新するのに試験とかあるの?
いえいえ、試験などはありませんよ。
保険請求上の決められたルール通りしていれば
問題ないのですが、
不正行為をして保険薬剤師を取り消される人がまれにいます。
著しく不適当と認められる場合には保険薬剤師の取り消しもある
通常は、薬剤師免許を取得し保険薬剤師として登録されれば生涯問題なく、健康保険を使用した処方箋を取り扱うことができます。
不正請求、不当請求を行った場合、禁固刑や罰金刑などの刑に処せられた場合そして厚生局長が保険薬剤師として著しく不適当と認められる場合には保険薬剤師の登録を取り消される可能性があります。
保険薬剤師の登録を取り消し処分を受けてから5年以内は再度、保険薬剤師の申請をしても拒否される可能性が高いです。
禁固刑や罰金刑などの刑に処せられた場合には、
保険薬剤師の登録どころか薬剤師免許の取り消しになる可能性もあります。
不正行為等による保険薬剤師の取り消しなどの実際
保険薬剤師の登録を取り消された人なんて実際にいるの?と思われる方もいるかもしれません。
数は多くありませんが、年間で数名の保険薬剤師が取り消し処分となっていることがあります。
取り消し処分の理由として多いのが不正請求や不当請求によるものです。
実際には処方箋が発行されていないにも関わらず、架空の処方箋を受付けたとして調剤報酬を請求する。その後、その不正が発覚し保険薬剤師の登録を取り消し! そんなことする薬剤師いるの?!と信じられないかもしれませんが実際にありました。
最近は突合点検という、医師(歯科医師)が発行した処方箋の内容と薬局で調剤された処方箋の内容に相違がないかを確認する作業をしますので、このようなことは簡単にわかってしまいます。
他にも実際には行っていない調剤行為などを不正に請求したりと、ときどき取り消し処分になっている薬剤師がいます。
不正請求など、明らかに不正行為だとわかれば、
たとえ会社の指示であっても断固拒否しなければいけません。
会社の指示であったとしても、個人の責任は免れません。
この記事が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。