調剤薬局で勤務されていて、患者さんから会計の際に「ちょっとまけて!」なんて言われたことある方いませんか?
では、処方箋による調剤の会計を値引きするなど変更することはできるのでしょうか?
今回は調剤薬局での支払いついてのお話です。
保険調剤における会計は勝手に変えてはいけない
健康保険法の第二条の四の二に、値引きの禁止が明記されています。また物品(ジュースやお菓子など)を渡すことも禁止されています。
医療保険各法等で規定されている保険診療のルールに沿った自己負担分を請求しなければいけません。
金品などの提供することで、患者さんの自由な医療機関選択に影響がでて健康保険事業の健全な運営を損なうおそれがあるという理由からです。
第二条の四の二
保険医療機関は、患者に対して、第五条の規定により受領する費用の額に応じて当該保険医療機関が行う収益業務に係る物品の対価の額の値引きをすることその他の健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益の提供により、当該患者が自己の保険医療機関において診療を受けるように誘引してはならない。
患者さんの利益となるような金品の提供は不可ということです。
薬局名を記載したボールペンなどを配布することも不可となります。
スポイトを渡すことは可能だが
小児の薬をお渡しする際に、薬を服用しやすいようにスポイトを無償で提供している薬局もあるかと思います。
スポイトについては、利益供与にあたらないとして無償提供することは問題ないとされています。
ただし、高価なスポイトを無償提供する場合には利益供与としてみられてします可能性がありますが、そんなスポイトないですよね?!
診療報酬の割引契約をすることができる
健康保険法第76条3項により、保険者が保険医療機関との割引契約を締結することが認められています。
つまり、一定の条件を満たし保険者(診療報酬支払側)と保険医療機関(診療報酬受取側)がお互いに同意すれば1点10円のところ1点9円など診療報酬を値引きすることができるようです。
こうすることで、保険者は診療報酬の支払額が減り、窓口で支払う患者さんの支払額も減るということになります。もちろん、診療報酬を受け取る保険医療機関の受取額も減ります。
ただ、健保連もこのような契約は特別なケースであるとの見方をしています。
割引契約の認可を受けるための条件として、①健保組合と医療機関の合意、②患者のフリ-アクセスの確保、③契約医療機関の収支状況の明示、④各都道府県の地方社会保険医療協議会委員からの意見聴取などがあるようです。
私自身は、割引契約をしている医療機関というのを見聞きしたことはありません。
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