グレープフルーツジュースと薬の飲み合わせは、薬剤師として重要な知識の一つです。
もちろん薬剤師さんなら知っていますよね?!
グレープフルーツに含まれる成分が一部の薬の効果を強め、副作用を引き起こす可能性があるため、この問題について理解しておくことは非常に重要です。
今回はグレープフルーツジュースと医薬品の相互作用のお話です。
フラボノイドやフラノクマリンが薬物代謝酵素を阻害
グレープフルーツに含まれるフラボノイドやフラノクマリンという成分が、薬の代謝を行う酵素であるCYP3A4を阻害します。
これにより、本来は体内で分解されるはずの薬が分解されず、そのまま吸収されてしまいます。
結果として、薬の効果が強まり、副作用が現れやすくなります。
現在、使用されている薬の半分以上の代謝にCYP3A4が関与しています。
現在、使用されている薬の半分以上にCYP3A4が関与していますが、その全てがグレープフルーツジュースとの併用が問題ということではありません。
CYP3A4だけでなく他の代謝酵素も関与している薬は、グレープフルーツジュースの影響は少なくなります。
問題となるのは内服薬
グレープフルーツジュースの薬物代謝酵素の阻害は内服薬において問題となり、静注などの注射による投与では問題となりません。
つまり、グレープフルーツジュースの代謝酵素阻害は腸内(小腸)におけるCYP3A4を特異的に阻害するということです。
グレープフルーツジュースのCYP3A4阻害作用は、飲んだ後1~2時間が一番影響がありますが、影響がなくなるまでには2~4日程度を要することが知られています。
ジュースでなければ問題ないのか?!
フラノクマリンは、グレープフルーツの果皮に特に多く含まれています。なので、果実まるごと絞って作るジュースにはフラノクマリンが多く含まれています。
果肉に含まれるフラノクマリンは果皮と比べると少ないですが注意が必要です。
グレープフルーツを半分程度で影響が出始めるといわれています。
少量を食べる程度では、それほど影響はないかもしれませんが、毎日など定期的に食べるという場合には注意が必要ですね。
ピンクグレープフルーツなど、グレープフルーツには様々な品種がありますが、同じグレープフルーツのなかでも白色種のほうがフラノクマリンは多く含まれている傾向にあります。
他の柑橘系は大丈夫なのか?
同じ柑橘類でも、温州みかん、レモン、バレンシアオレンジなどにはフラノクマリンはほとんど含まれていません。食べ過ぎには注意が必要ですが、グレープフルーツのような影響の心配はありません。
スウィーティー、メロゴールドといった柑橘類には、フラノクマリンが多く含まれています。なので、グレープフルーツと同様に薬との飲み合わせには注意が必要です。
特に注意が必要な医薬品
グレープフルーツジュースとの相互作用は、医薬品の種類によって大きくことなりますが、以下のようなものは特に注意が必要です。
・降圧薬(Ca拮抗薬)(例:ニフェジピン など)
・不眠症治療薬(例:トリアゾラム など)
・免疫抑制剤(例:シクロスポリン など)
・高脂血症治療薬(例:シンバスタチン など)
上記のものについては、医薬品そのものに副作用のリスクがあるものですので、グレープフルーツジュースとの相互作用には注意が必要となります。
グレープフルーツジュースを飲んでしまったから、すぐに副作用などが発生するわけではありませんが、CYP3A4の影響を強く受ける医薬品を使用している場合には、グレープフルーツジュースは飲まないようにと服薬指導することが望ましいですね。
この記事が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
最後までご覧頂きありがとうございました。