調剤薬局やドラッグストアで勤務する薬剤師、登録販売者は患者さんやお客さんが有資格者であることがわかるように名札を付けることになっています。
以前は、もちろん名札に記載する氏名はもちろん本名でしたが、現在は本名でなくても可能となりました。
これは、近年のストーカー被害やカスタマーハラスメントなどの増加を受けて改正されました。
今回は、薬剤師そして登録販売者の名札に関する話です。
名札への記載は本名でなくても可能に
これまで薬局、ドラッグストアで勤務する薬剤師、登録販売者の名札には本名(フルネーム)で記載することとされていました。
これが近年、ストーカー被害やカスタマーハラスメントが増えたことによって2022年6月27日付けで改正されました。
この改正により、姓のみ又は氏名以外の呼称でも可能となりました。
つまり「山田 太郎」さんという方であれば「山田」のみでも可能です。また、「薬剤師1号」といった呼称でも可能ということです。
第 3 薬事法施行規則等の一部を改正する省令(平成 21 年厚生労働
省令第 10 号)関係
Ⅰ 薬事法施行規則(昭和 36 年厚生省令第 1 号)関係
1 薬局に関する事項
(8) その他
その他薬局について、次のように定めたこと。
⑥ 薬局開設者は、その薬局に勤務する従事者に、薬剤師、登録販売者又は一般従事者であることが容易に判別できるよう名札を付けさせることその他必要な措置を講じなければならないこととしたこと。(新施行規則第 15 条の2 関係)なお、薬剤師又は登録販売者には、氏名に加えて「薬剤師」又は「登録販売者」と記載した名札を付けさせるか、氏名を記載した名札に加えて薬剤師又は登録販売者の別を記載したバッジ等を付けさせることとし、一般従事者には、氏名のみを記載した名札又は氏名に加えて「一般従事者」と記載した名札を付けさせること。なお、ストーカー被害やカスタマーハラスメントの防止等の観点から、薬局開設者が適切に判断し、薬剤師、登録販売者又は一般従事者が氏名に代わって、姓のみ又は氏名以外の呼称を記載した名札を付けることを認めても差し支えないこと。姓のみ又は氏名以外の呼称を記載することとする場合は、薬局開設者は、薬局の営業時間中に従事する薬剤師、登録販売者又は一般従事者の特定のため、名札への記載名について実名と照合できるよう把握及び管理すること。
また、名札による区別のほか、衣服等による区別を行うことが望ましいこと。この場合において、一般従事者がいわゆる白衣を着用する等、購入者等からみて紛らわしい衣服を着用させることは避けること。
名札は付けなければいけない
名札の記載は本名でなくても可能になりましたが、名札を付けなければならないことには変更はありません。
薬機法施行規則の第15条に名札を付けることが明記されています。
名札への氏名は状況に応じて変えることができますが、患者さんなどが有資格者なのか判断できるように「薬剤師」「登録販売者」などの記載が必要です。
また、研修中の登録販売者については「研修中の登録販売者」という記載が必要となります。
薬機法施行規則 第15条
(薬局における従事者の区別等)
第十五条 薬局開設者は、薬剤師、登録販売者又は一般従事者(その薬局において実務に従事する薬剤師又は登録販売者以外の者をいう。第十五条の八第一項において同じ。)であることが容易に判別できるようその薬局に勤務する従事者に名札を付けさせることその他必要な措置を講じなければならない。
2 薬局開設者は、第百四十条第一項第二号又は第百四十九条の二第一項第二号に規定する登録販売者以外の登録販売者(次項、第百四十七条の二及び第百四十九条の六において「研修中の登録販売者」という。)が付ける前項の名札については、その旨が容易に判別できるよう必要な表記をしなければならない。
3 薬局開設者は、研修中の登録販売者については、薬剤師又は登録販売者(研修中の登録販売者を除く。)の管理及び指導の下に実務に従事させなければならない。
名札の記載内容は薬局開設者が決める
名札の記載は呼称でいいからといって、勤務する薬剤師が「薬剤師18号」など勝手に変えることはできません。
“薬局開設者は、薬局の営業時間中に従事する薬剤師、登録販売者又は一般従事者の特定のため、名札への記載名について実名と照合できるよう把握及び管理すること。” とされています。
つまり、薬局開設者が決めるということです。
さまざまな事情などで、氏名を名札に記載することを希望される方は、薬局開設者に相談してみてください。
服装による区別もするように
名札で「薬剤師」「登録販売者」などを記載して有資格者であることを明確にしなければいけませんが、服装においても有資格者と一般従事者を区別するようにとされています。
“紛らわしい衣類を着用させることを避けること” とされていますので義務ということではありませんが、有資格者と一般従事者が同じ白衣を着用することは避けるようにということですね。
白衣を着用する場合には、色を分けるなどの対応をすることが望ましいです。
最後までご覧頂きありがとうございました。