「いつかは年収1000万円!!」そんな風に思っている薬剤師さんもいるのではないでしょうか。
ただ、転職サイトをみても年収1000万円という求人をみたことがあるという方は少ないのではないでしょうか。
実際のところ勤務薬剤師として年収1000万円というのは可能なのでしょうか。
今回は、調剤薬局をメインとしている薬局の勤務薬剤師の年収について考えてみます。
年収1000万円は可能なのか?
年収1000万円が可能なのかは調剤薬局での利益を考える必要があります。
利益がなければ当然、人件費をあげることはできません。
転職をする際や、自分自身の今の給与が適正であるのかを判断するうえでも薬局における利益を考えることは重要です。
調剤薬局で勤務する薬剤師が年収1000万円を得るためには、どのような状況なのか考えてみましょう。
調剤薬局での利益を考える
処方箋1枚あたりの粗利益を2000円として、薬剤師が1日に取扱える処方箋枚数40枚を受付した場合、
1日あたりの粗利益は 2000(円)×40(枚)=80,000円 となります。
1ヵ月で20日間営業したとすると、
1ヵ月あたりの粗利益は 80,000円×20日=1,600,000円 となります。
人件費は社会保険料など福利厚生費を考慮すると実際には額面の1.2~1.3倍程度となります。
ですので年収1000万円の場合は、実際には1200~1300万円の経費となります。
実際の経費を1200万円として考えると月に100万円を経費計上できれば可能ですので、上記のような処方箋の受付状況であれば一応可能ということになりますが・・・
これは、あくまで受付できる処方箋枚数の40枚として考えた場合です。
1日の受付処方枚数が20枚だとしたら、1ヵ月あたりの粗利益は半分の 800,000円 となり年収1000万円というのは不可能ですね。
経費は薬剤師の人件費だけではない!
上記は薬剤師だけの人件費で年収1000万円が可能か考えましたが、実際には薬剤師の人件費だけでなく家賃、水道光熱費などの維持管理費、事務職員さんの人件費など経費はたくさんあります。
これらを考慮すると、処方箋による調剤を主としている調剤薬局において年収1000万円というのは、かなり厳しい状況といえます。
安定して運営していくためには、労働分配率を60%程度までに抑える必要があります。
労働分配率とは、簡単にいうと粗利益をどれくらい人件費に使うかということです。
1ヵ月の粗利益が100万円だった場合、人件費は60万円にする必要があるということです。
調剤薬局で働く薬剤師の平均年収
薬剤師の転職支援会社のヒアリング調査によると調剤薬局で働く一般の薬剤師の平均年収は450~550万円といわれています。
管理薬剤師の場合は、500~650万円と一般の薬剤師と比べると高くなります。
いくつかの店舗を管理するマネージャー職になると600~800万円と高くなる傾向があります。
それぞれの職務内容で年収の幅がありますが、これは地域差や会社の規模によるものです。
都市部よりも地方の方が、年収は高くなる傾向があります。
年収を上げるためには
勤務薬剤師として年収をあげるためには、管理職もしくはマネージャー職になることが必要となります。
また、薬局として年収をあげるためにするべきことは、1枚あたりの処方箋単価をあげること、そして処方箋の受付以外の売上を増やすことが必要となってきます。
それぞれ簡単なことではありませんが、年収をあげるためには重要なことです。
40枚の規制が緩和されれば年収アップも見えてくるが…
薬剤師が1日に取扱える処方箋枚数は40枚と定められていますが、これが緩和されれば当然、薬剤師1人が生み出すことができる利益も増えるので年収アップが期待できます。
現在、調剤機器などの発達により薬剤師が取り扱える処方箋枚数を緩和するとの検討もはじまっているようです。
これが緩和されることで年収アップも期待できますが、逆に薬剤師数は今よりも少なくてよくなるため、必要とされない薬剤師もでてくる可能性があります。
今のうちから必要とされる薬剤師となるように、日々考えながら仕事をしていきましょう。
この記事が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
最後までご覧頂きありがとうございました。