風邪に使う漢方薬といえば【葛根湯】ですね。
万能薬として落語のまくらに「葛根湯医者」というものがあり、なんでも効く万能薬として【葛根湯】が登場します。
今回は古くから、さまざまな症状に使用されてきた【葛根湯】について解説します。
古くから使用されてきた【葛根湯】
葛根湯の歴史は古く、なんと紀元200年頃に書かれた医書の中ですでに紹介されています。 1800年もの間、葛根湯は風邪の初期症状や肩こりなどを和らげる効果がある薬として、現代まで伝わってきた漢方薬です。
葛根湯には以下のような生薬がふくまれています。
- 葛根(カッコン)
- 麻黄(マオウ)
- 桂皮(ケイヒ)
- 芍薬(シャクヤク)
- 甘草(カンゾウ)
- 大棗(タイソウ)
- 生姜(ショウキョウ)
さまざまな効能がある!
医療用漢方薬のツムラ葛根湯に記載されている、効能には、感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、乳腺炎、リンパ腺炎)、肩こり、上半身の神経痛、じんましんなどさまざまな効能があります。
葛根湯は産婦人科において母乳がでない、出にくい方(乳腺炎がある)にも処方されることがあります。
葛根湯には皮膚から悪いものを外に出す働きがあり、また筋肉をほぐす働きや水分を生み出す働きなどにより母乳をだす作用が期待されます。
眠くならない風邪薬
西洋医学で使用される感冒薬や消炎鎮痛剤は、副作用として眠くなったりボーっとしたりすることがあります。
葛根湯は眠くなる成分は含まれていません。逆に麻黄の効果で覚醒効果があります。
学校などの試験の当日に風邪をひいたときなどは、総合感冒薬を服用すると、熱や頭痛は抑えられますが、眠くなってしまったり脳の機能は低下する可能性があります。
その点、葛根湯は眠気の副作用はないのでおすすめです。
落語の枕にも登場する【葛根湯】
落語には、“葛根湯医者” という噺があります。
これは、頭痛の人にも、急性の腹痛の人にも、目の炎症疾患の人にも、足の筋肉痛の人にも、挙句の果てには病人の付き添いできた人にも葛根湯を飲ませていたというものです。
何でも葛根湯を飲ませるヤブ医者のように感じてしまいますが、葛根湯はそれだけ様々な症状に効果があったのではということにもなりますね。
馴染み深い漢方薬ですが、注意点も
葛根湯は、もっとも親しまれている漢方薬といっても過言ではありません。
葛根湯は、比較的に体力がある、実証に向いている漢方薬です。風邪の引き始めなど初期症状に効果があります。
逆に胃腸の調子が悪い人や発汗が多い人には向いていない。
甘草を含み、偽アルドステロン症に注意
葛根湯には、甘草が含まれているため偽アルドステロン症の副作用には注意が必要です。
偽アルドステロン症の症状としては、高血圧や低カリウム血症などがあります。この症状が疑われた場合には、服用を中止するようにします。
また、血液検査によってカリウムなどの電解質の異常がないか確認することも必要となることもあります。
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麻黄との飲み合わせに注意
葛根湯には麻黄が含まれており興奮作用があります。
そのため、同じように交感神経を刺激する作用をもつ医薬品(カテコールアミン製剤(アドレナリン、イソプレナリン)、テオフィリン(テオドール)やエフェドリン類含有製剤、甲状腺製剤などとの併用には注意が必要です。
高血圧の方や心臓病、脳卒中の既往がある方、循環器系の疾患がある方においては慎重に使用します。
この記事が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
最後までご覧頂きありがとうございました。