医療機関において薬価差収入は大きなものです。
2021年度からは毎年薬価が改定されることになり、多くの品目において薬価が下がっている影響などもあり、薬価差においても厳しい状況となっています。
今回は、調剤薬局における薬価差についてと、共同仕入れサービスの話です。
調剤薬局は仕入れの改善が重要!
薬価よりどれだけ安い価格で仕入を行うことができるか、つまり薬価差は調剤薬局における収入面に大きく影響を与えます。
調剤薬局に限らず “商いは安く仕入れて、高く売る” ことが基本です。
保険医療においては、医薬品の販売価格は薬価という国が定めた価格があり、薬局において価格を変えることはできません。
ですので調剤薬局においては仕入を改善することしか対策はできないのです。
つまり、仕入の改善を考えることが調剤薬局においては、とっても大事なことなのです。
薬価差が30%以上が当たり前だった?!
かつては薬価差率が30%以上の品目がたくさんあったようなこともありました。
それが今では、薬価差率が13%程度という薬局も少なくなく、近年は厳しい状況が続いています。
毎月300万円の医薬品を購入している薬局においては、単純計算で薬価差率が1%違うだけで年間36万円も仕入額に差が出ます。
これが、もし5%も違えば年間180万円も仕入額に差が出ることになります。
大型チェーン薬局はスケールメリットを生かした仕入ができる
全国に数百店舗もあるような大型チェーン薬局では、スケールメリットを生かして、グループ全体としての購入量で卸売業者と価格交渉をすることができます。
購入量が多いということは、卸売業者としても大きな得意先となるため価格交渉において有利に働くことは当然なことです。
個人で運営している薬局や小規模な薬局では、購入量という面では、大型チェーン薬局には太刀打ちできません。
支払サイトも重要なポイント
支払サイトとは、取引を行ってから代金を支払うまでの期間のことです。つまり、購入した医薬品の代金をいつ支払うかということです。
購入したら、すぐに支払うのが当たり前なのでは? と思われる方もいるかもしれませんが、調剤薬局において支払が2ヶ月後、3ヶ月後なんてことはよくあることです。
調剤薬局とすれば、支払金額が同じであるならば支払サイトは長ければ長いほどメリットがあるのです。逆に、卸売業者としては、支払サイトが長いことは代金を肩代わりしているようなものなので、デメリットとなります。
つまり、支払サイトも卸売業者との価格交渉においては重要なポイントとなるのです。
保険調剤においては、調剤報酬は翌々月に支払基金より通常振込が行われるため、支払サイト2ヶ月としている薬局が多くみられます。
以前は支払サイト3ヶ月という薬局も多くみられましたが、卸売業者も新たに取引する薬局については支払サイト2ヶ月以下ということを条件にしているところも多く、支払サイト3ヶ月という薬局は少なくなってきています。
小規模薬局の味方?!医薬品の共同購入
前述のとおり、小規模薬局においては購入量も少なく、まともに卸売業者と価格交渉すらできずに提示された額で取引するしかないというのも珍しくありません。
仕入の改善は、薬局経営にとって大きな要素であるため、まともに価格交渉ができないというのは致命的です。
そこに、近年 “共同購入サービス” というものが注目されるようになってきました。
小規模薬局において“共同購入サービス” は、仕入の救世主になるかもしれません。
共同仕入れとは?
共同仕入れとは、小規模な薬局が連携し組織化することで大手チェーン薬局と同じように価格交渉などを行うものです。
また、大型チェーン薬局が運営しているものもあります。
おもに小規模な薬局が加盟し、大手薬局チェーンのようにスケールメリットを生かした価格交渉等ができるようになる。
規模の大きくない薬局においては、共同仕入れなどを利用することも仕入状況が改善する可能性がある。
共同仕入れのメリット!価格交渉代行
仕入れをする際に大変なのが価格交渉です。
以前は2年おきだった薬価改定が、今では毎年の改定となりました。
それぞれの卸売業者と、そして品目ごとに価格を交渉することは一苦労です…
共同仕入れでは仕入価格交渉も代行してもらえるため、それらの労力も軽減することができます。
共同仕入れサービスに加盟することによって、仕入価格は下がるものが多いと思いますが、品目によっては仕入価格が上がってしまう可能性もあります。
加盟する前に、シミュレーションをしてもらえるところも多いので活用することをおすすめします。
共同仕入れサービスに加盟するには条件がある?!
今では、共同仕入れサービスを行っているところが、様々あります。
加盟するにあたり、発注をオンライン発注にしなくてはならない(発注システムを変更する必要がある場合も)、支払サイトの変更、仕入先の卸売業者が限定される(地域の小規模な卸売業者とは取引できなくなる可能性も)など、それぞれ加盟条件があります。
加盟することによって、どのようなメリットもしくはデメリットがあるのか、複数の共同仕入れサービスに問い合わせをすることをおすすめします。
この記事が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
最後までご覧いただき有難うございました。