【小青竜湯】は眠気の出ない抗アレルギー薬!ただし注意すべき点もあります。

日本人は4人に1人が花粉症であるといわれています。また首都圏など地域を限っていえば2人に1人が花粉症であるともいわれます。

鼻水、鼻づまりや目の痒みなどを抑えるために薬を服用している方も多いくいますが、よく問題となるのが眠気です。

今回は眠気の出ない抗アレルギー薬として花粉症などで処方される小青竜湯しょうせいりゅうとうについて、また注意点などについて解説していきます。

 

風邪や花粉症によく使われる小青竜湯

小青竜湯には、麻黄(マオウ)、桂皮(ケイヒ)、芍薬(シャクヤク)、半夏(ハンゲ)、五味子(ゴミシ)、細辛(サイシン)、乾姜(カンキョウ)、甘草(カンゾウ)の8種類の生薬が含まれています。

小青竜湯は、鼻水や鼻炎の症状に効果がある漢方薬で、風邪や花粉症などのアレルギー性鼻炎、そして気管支喘息などにも使用されています。

身体を温める作用をもつ漢方薬に分類され、主に “寒証” に使用されます。

 

麻黄、桂皮の作用により余分な水分を排泄

小青竜湯は “実証” を取り除く漢方薬で過剰な鼻水などを排泄する作用があります。
この余分な鼻水を排泄するという作用は、麻黄(マオウ)・桂皮(ケイヒ)による発刊作用と麻黄の利尿作用によるものです。

これらの余分な水分を排泄させるという作用は身体を内部から温めることで、より効果を発揮することが期待できます。ですので、風邪や花粉症などで鼻水が出ている場合には、身体を冷やさないということも大切です。

花粉症や風邪などで鼻づまりがひどい場合は、身体を冷やさないようにして鼻の付け根を蒸しタオルなどで温めるといいです。

 

車を運転する方や、受験生の強い味方

鼻水、鼻づまりや目の痒みなど多くの人が花粉症などアレルギー性疾患に悩まされています。

近年は医薬品の研究開発も進み、それらの症状を改善する素晴らしい医薬品も数多くつくられています。ただ、これらの薬でよく問題となるのが眠気です。

車を運転される人や受験生などには眠気が出るというのは大変な問題となります。

そこで眠気が出ない薬として、この小青竜湯がよく処方されています。

添付文書にも眠気に関する注意事項は記載されていません。

 

花粉症で使用する場合は初期症状に

眠気が出ないということで花粉症などアレルギー性疾患に対して使用されることが多い小青竜湯ですが、鼻炎が悪化して粘性のある鼻水という症状である場合には、“熱証” として扱われるために “寒証” に適応する小青い竜湯は効きにくくなります。

花粉症に使用するという場合には、症状が悪化する前の “寒証” の状態である1~2月頃(スギ花粉の場合)から服用を始めると効果的です。

症状が “熱証” であるにも関わらず小青竜湯を使い続けると、効果がないばかりか動悸や不眠などを引き起こす可能性もあります。その時々の状態( “虚実”など )を考えながら使用する漢方薬を選ぶことが、効果を最大限に引き出し、副作用の発現を抑えることにつながります。

 

小青竜湯が合わない人もいる?!

眠気もなく重宝される小青竜湯ですが、体力が衰えて “著しい虚証” の人や胃腸の調子が優れない人、または動悸や不眠が気になる人には向いていません。

小青竜湯に含まれる麻黄(マオウ)は強力であるため虚弱体質な方が使用すると胃もたれや動悸を起こしやすく、また桂皮(ケイヒ)も含まれているため、これらの作用がより強く作用がでる可能性があります。

また麻黄(マオウ)、桂皮(ケイヒ)には発汗作用もあるため、もともと汗をかきやすい人にも向いていません。

小青竜湯は、体力が衰えている人や胃腸の調子が優れない人、汗をかきやすい人には不向きである。

 

副作用(偽アルドステロン症)などに注意

小青竜湯は甘草(カンゾウ)を含む漢方薬で、その量も1日の服用量として3.0gと多いため、偽アルドステロン症の発現に注意が必要となります。

甘草(カンゾウ)は多くの医療用漢方薬に含まれているため、いくつかの漢方を併用している場合には、特に偽アルドステロン症の発現に気をつけなければいけません。

また、麻黄(マオウ)は交感神経刺激作用があるため、エフェドリンやテオフィリンなど同じように交感神経刺激作用をもつ医薬品や甲状腺薬のチロキシン、リオチロニンとの併用には注意が必要です。

参考記事⇒漢方薬には副作用がない?!そんなことはありません。注意すべき甘草について解説

 

小青竜湯が合わない人には苓甘姜味辛夏仁湯を

苓甘姜味辛夏仁湯りょうかんきょうみしんげにんとうは小青竜湯から麻黄(マオウ)、桂皮(ケイヒ)、芍薬(シャクヤク)を除いて、杏仁(キョウニン)、茯苓(ブクリョウ)を足したものです。
虚弱体質である人で胃もたれや動悸、不眠などの副作用が気になる人でも安心して使用することができます。

冷え性で、また体力が弱まっており咳や痰の症状が長引いているような場合には、こちらの漢方薬が向いています。

苓甘姜味辛夏仁湯にも、小青竜湯ほどではありませんが比較的に多めの甘草(カンゾウ)が含まれているため、偽アルドステロン症には注意が必要です。

苓甘姜味辛夏仁湯は麻黄、桂皮、芍薬が含まれていないため、小青竜湯のように鼻水などの症状には効果が期待できませんが、咳の症状には体力が弱まっている虚弱体質な人にも安心して使用することができます。

 

この記事が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

最後までご覧いただき有難うございました。



 

 

 

 

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