あなたは薬をどのように飲んでますか?
“水”?それとも“お茶”?
お酒と一緒に!?それは駄目ですよ!
水で飲まれている方も多いかと思いますが、
そのなかでも“ミネラルウォーター”は注意が必要です。
ミネラルと薬の飲み合わせについて現役薬剤師が解説します。
そもそも “ミネラル” とは何?
厚生労働省では “カルシウム・カリウム・ナトリウム・マグネシウム・亜鉛・鉄・クロム・セレン・銅・モリブデン・ヨウ素・リン・マンガン” の13種類について健康増進法に基づき不足すると欠乏症が起こるものとして食事摂取基準が定められています。
この13種類に“硫黄・コバルト・フッ素”の3種類を加えた16種類が必須ミネラルとして人体にとって栄養素として欠かせないものとしています。
ノーベル賞を受賞しているライナスポーリング博士は “すべての不快感、疾患、病気のもとをたどるとミネラル欠乏にたどり着く” とも述べられており、
どれだけミネラルが人体にとって重要なのかがわかります。
ミネラルウォーターの種類
硬度とは?
水の硬度とは、水にふくまれるミネラルの量のことです。
水のミネラルの量は、主にカルシウム(塩)とマグネシウム(塩)の濃度を計算することで表されます。
水の硬度は、アメリカ硬度、イギリス硬度、ドイツ硬度、フランス硬度など計算方法などにより、いくつかありありますが、日本ではアメリカ硬度を用いることが多くみられます。
水の硬度が高いということは、カルシウムやマグネシウムといったミネラル分が多く含まれているということです。
水の硬度が低いものは軟水、高いものを硬水といわれ、世界保健機関(WHO)ではアメリカ硬度を用いていかのように分類しています。
- 軟水:0 – 60(mg/L)未満
- 中程度の軟水(中硬水):60 – 120(mg/L)未満
- 硬水:120 – 180(mg/L)未満
- 非常な硬水:180(mg/L)以上
国や地域によって水の硬度は違う!
一般的にヨーロッパの水は硬度が高く、日本の水は硬度が低いといわれています。
これは地形や地質が大きく関係しています。
また、日本国内でも都道府県や地域によっても水の硬度は違います。
馴染めないことを “水が合わない” なんて言ったりしますが、
実際に水の硬度が違うことで、その土地に馴染めないなんてこともあります。
ミネラルウォーターや水道水の硬度
アメリカ硬度を基準として、市販されているミネラルウォーターの硬度は以下のように分類されます。
・軟水【いろはす、南アルプスの天然水、クリスタルガイザー、ボルビック、アルカリイオン水 など】
・中程度の軟水【サンベネデット、シリカシリカ など】
・硬水【ペリエ、エビアン など】
・非常に硬度が高い硬水【コントレックス など】
日本国内における水道水の硬度は平均50(mg/L)程度で軟水に分類されます。
ちなみに水の硬度の高い都道府県は、
【1位】沖縄県(硬度84程度)
【2位】千葉県(硬度81程度)
【3位】埼玉県(硬度75程度)
逆に硬度の低い都道府県は、
【45位】島根県(硬度28程度)
【46位】山形県(硬度27程度)
【47位】愛知県(硬度26程度)
日本国内においても都道府県によって硬度が60近くも変わります。
また、都道府県内においても地域によって水の硬度は違うこともあります。
ミネラルと薬の飲み合わせ
薬とミネラルの飲み合わせで問題となるものとして『キレート作用』というものがあります。
キレート作用というのは、薬とミネラルが結合して、薬の吸収を妨げてしまうものです。
薬を飲むときは『水で』といわれますが、水だったら何でもいいわけではありません。
ミネラルウォーターで硬水に分類されるものには、ミネラル分が多く含まれています。
このため硬水のミネラルウォーターは薬を飲むものとしては適しません。
では具体的にどのような薬がミネラルとの飲み合わせに注意が必要なのでしょうか?
薬は、軟水で服用するようにしましょう!
日本で市販されているミネラルウォーターの多くは軟水です。
ミネラル全般と併用に注意が必要な医薬品
ミネラル全般との併用に注意が必要な医薬品
・骨粗鬆症治療薬(ビスホスホネート系製剤)
→ビスホスホネート系製剤と結合してキレート化合物ができ腸管からの吸収を阻害します。
※カルシウム,マグネシウムなどを含む製剤はビスホスホネート系製剤の服用後、少なくても30不分経ってから服用するようにします。
・テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリン),ニューキノロン系抗菌薬
→金属イオンとキレートができ吸収が阻害され、抗菌薬の効果が減弱する可能性があります。
※抗菌薬を服用後、2時間以上間隔をあけてからカルシウム等を含有する製剤を服用するようにします。
・消炎鎮痛剤(セレコキシブ)
→機序は不明ですが、セレコキシブの血中濃度が低下するという報告があります。
カルシウムと併用に注意が必要な医薬品
カルシウムのおもな働き
骨や歯の形成に必要な成分で、筋肉の収縮を調節したり、
神経を沈めて精神安定にも関与しています。
牛乳などの乳製品や干物や乾物など骨ごと食べられる魚介類に多く含まれています。
カルシウムとの併用に注意が必要な医薬品
・強心薬(ジゴキシン,ジギトキシン,メチルジゴキシン)
→血中カルシウム濃度が上昇しジギタリス製剤の作用が増強しジギタリス中毒症状(吐き気,不整脈など)があらわれる可能性があります。
鉄と併用に注意が必要な医薬品
鉄のおもな働き
赤血球内のヘモグロビンの構成成分で、各組織へ酸素を運ぶ働きをします。
また肝臓での解毒作用や体内でのエネルギー産生においても関与しています。。
牛肉などの赤身、干物や乾物、海藻類などに多く含まれています。
ミネラルは人体にとって欠かすことのできない成分ですが、
医薬品の種類によっては飲み合わせが悪いものがあります。
せっかく薬を飲んでいるのに医薬品の効果が弱まってしまい
症状がよくならないということになってしまう可能性もあります。
硬度の高いミネラルウォーターだけでなく、
サプリメントでもミネラル含んだものを多く市販されています。
特に薬を飲まれている方は、ミネラルなどを含めたサプリメントを使用する場合には、
医師や薬剤師に相談し、飲み合わせに問題がないか確認してもらうようにしましょう。
参考記事⇒サプリメントと薬を一緒に飲んでいませんか?その飲み合わせ危ないかもしれません!【サプリメントと薬の飲み合わせをチェック!】