わたしたちの身体は血液、リンパ液が全身をめぐり、そして元気、やる気などの気がめぐる。これらがバランス良く循環していることが健康であるのに重要です。
わたしたちの身体をめぐる、これらの重要な要素を漢方では【気】【血】【水】として考えます。
今回は【気】【血】【水】とは何か、そして問題があった場合にはどのような生薬が使われるのかを解説します。
【気】【血】【水】はバランスよく巡ることが重要
東洋医学において【気血水】という、とても重要な概念がありますが、
どんなものか知ってますか?
【気血水】?!
以前、“虚実”や“寒熱”は学んだけど・・・
同じように何か身体の状態を示すもの?
そうですね、【気血水】は“虚実”などの【証】という概念がありましたが、
より詳しく身体の状態を示したものとイメージでいいと思いますよ。
【気】【血】【水】とは?
東洋医学において【気血水】の理論は、病気の原因がどこにあるのか、そしてどのような治療をするのか決めるのに重要な概念です。
【気】は “元気” や “やる気” といった生命エネルギー、【血】は “血液”、【水】は “血液以外の体液” を表しています。
わたしたちが健康で過ごすには、どれも重要な要素です。
それぞれ多すぎず、少なすぎずと過不足なくあることが大切で、そして滞りなく循環することが需要なものです。
【気】とは?
【気虚】
“気” が不足している状態、これが “気虚” です。 “気” はわたしたちが活動するうえで原動力となる重要なもので、これが不足すると病気への抵抗性も弱まり風邪を引きやすくなったり、長引いたりします。疲労感や冷えも特徴的な “気虚” の症状です。
【気虚】を改善する主な生薬
人参、 黄耆、 白朮、 茯苓、 甘草 などがあります。
“気” は太陽光を浴びながら自然の中を散歩するなど適度に運動することで補うことができます。また、食品からも補充できるといわれ、なかでも豆類は “気” を補う食品としてよいとされています。
【気滞】
“気” がうまく循環できていない状態、これが “気滞” です。血気水は、バランスよく身体を循環することで健康な状態を保つことができます。そのため、一部に留まってしまうことは問題なのです。特徴的な症状として、腫れる、お腹が張る、のどや胸のつまり感があります。
【気滞】を改善する主な生薬
柴胡、 厚朴、 半夏、 香附子 などがあります。
【気逆】
“気” というものは上から下へ流れるという考えがあり、それが下から上へと逆行する状態を “気逆” といいます。主な症状としては、吐き気や頭痛、ゲップ、激しく続く咳などで、逆流性食道炎は本来であれば上昇するはずでない胃酸が逆流する疾患であるため、この “気逆” です。
【気逆】を改善する主な生薬
桂皮、 黄連、 半夏、 大黄 などがあります。
漢方薬の名前には、どのような生薬が含まれているか、どのような効果があるのかヒントが隠されています。
芍薬甘草湯は分かりやすいですが、芍薬と甘草を含む漢方薬です。
補中益気湯の “中” は体を頭から上中下に分けた真ん中、つまり腹部に “気” を補うということです。
【血】とは?
【血虚】
さまざまな臓器などに栄養素を送り届ける “血” が不足した状態、これが “血虚” です。必要な栄養素などが足りない状態となるため貧血のような症状(めまい、ふらつき)、手足のしびれ、肌荒れ、小じわが増えるなどの症状が現れます。
【血虚】を改善する主な生薬
地黄、 芍薬、 当帰、 阿膠、 竜眼肉、 酸棗 などがあります。
【瘀血】
“血” の循環がうまくいかずに滞る状態、これが “瘀血” です。 必要な栄養素が送り届けられないだけでなく老廃物もうまく回収できないため吹き出物が出たり、しみ・そばかすが増える、目の下にクマができるなどの症状が現れます。
【瘀血】を改善する主な生薬
当帰、 川芎、 桃仁、 牡丹皮 などがあります。
偏った食生活は “血” の状態を悪化させます。無理なダイエットや偏食には気を付けましょう。また、ウォーキングなど定期的に運動することは “血” の循環を改善することにつながります。
【水】とは?
【陰虚】
“水” が不足した状態を “隠虚” といいます。または “津虚” ともいわれます。身体の水分が不足することで肌がかさつき痒みがでたり、目や口の渇き、尿の量の減少、便秘などの症状が現れます。
【陰虚】を改善する主な生薬
麦門冬、 天門冬、 地黄、 人参、 五味子 などがあります。
【水滞】
“水” の循環が滞っている状態を “水滞” といいます。または “水湿” や “水毒” 、“痰湿” ともいわれます。“水” の循環が滞ることで浮腫み、湿疹、動悸、肥満などの症状が現れます。
【水滞】を改善する主な生薬
茯苓、 猪苓、 沢瀉 などがあります。
わたしたちの身体は多くの水分で構成されているため、“水滞” は複雑な症状を引き起こすといわれています。東洋医学では、慢性的な病気などは “水滞” を疑えといわれます。
いかがでしたでしょうか、今回は漢字ばかりで普段あまり聞きなれないような言葉ばかりだったかもしれません。
“血気水” の異常は併発することも多く、それぞれ症状にあった漢方薬を処方する必要があるのです。
この記事が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
最後までご覧いただき有難うございました。