処方箋の使用期間は延長できない
交付後の期間延長はできない
以前は使用期限が過ぎてしまった場合、処方医へ連絡し期限を延長してもらっていたなんて話もありますが、現在は交付後の期間延長は認められません。
使用期間を過ぎてしまった処方箋は、処方箋そのものが無効になるため、保険請求せずに自費扱いで調剤することもできません。
なぜ、使用期間が4日間なのか?
“処方箋は、医師が処方日現在の患者の症状を考慮して必要な分の薬について記載して交付するものであり、交付の日から日数が経過した場合には、診察した当時からみて患者の症状が変わり、処方薬がその時点では安全かつ有効なものとはいえなくなるおそれがあるため、適正な日数として4日以内と定めている” としています。
処方箋が発行された場合はできるだけ早く調剤してもらい処方薬を使用しましょうということです。
この処方せんの使用期限が4日間というのは、これまで議論が重ねられています。
風邪症状や怪我などの外傷などの急性疾患は前述のとおり処方せんが発行された場合には、できるだけ早く処方薬を使用することが必要となるでしょう。患者さんとしても実際に発熱や咳、痛みなどといった症状が現れていることが多いので、あとで薬をもらいに行こうと考える方は少ないです。
問題となるのは、高血圧症や糖尿病など慢性疾患で症状や状態が安定している患者さんの処方せんの使用期限です。長期間にわたり症状も安定していて処方内容も今までと変わらない場合、手元にまだ薬が少し残っていて薬局が混雑しているときなどは、あとで処方せんを持っていこうと考える患者さんもいます。
これらの状況をふまえてリフィル処方せんなどの導入など、様々な議論が続いています。
特殊な事情がある場合は期間延長することが可能
特殊な事情がある場合には使用期間を延長して処方箋を発行することができます。
ここでいう特殊な事情というのは、すぐに長期の旅行に行くといった場合や新型コロナウイルス感染症の影響で、すぐに処方箋を持っていくことができないと判断されるときです。
なお、特殊な事情がある場合というのはあくまでも患者さんの事情のことであり処方医が長期の旅行に行くといった事情は対象外です。
患者さんはもちろんのこと薬剤師など処方医以外が処方せんに使用期限の延長日などを勝手に記載することは私文書偽造罪など問題になりますので注意してください。
再発行の処方箋は全額自己負担?
処方せんの再発行となる場合には、再交付にかかる費用の処方せん料、再診料などは保険請求は認められません。処方せんの再発行は全額自己負担となってしまいます。
薬局においても再発行ということであれば、医療機関は自由診療としての処方せん発行となるため、その処方せんでの調剤については薬学管理料等を含め保険請求できないとされています。
ただ「愛知県保険医協会Q&A」において、処方せんの紛失もしくは処方せんの有効期間が失効して再発行となった場合、薬剤を受け取っていない場合には薬局においては保険給付の対象となるとされている。これをもとに、再発行の処方せんについては保険扱いとしているケースもあります。
薬局における再発行の処方せんの取扱いについては、地域ごとによって判断が違うようですので、はっきりしない場合には各県の厚生局などに確認するようにしましょう。
また、処方せんを紛失したと嘘をついて別の薬局で同じ薬をもらうといった事例も発生しているので、再発行の処方せんを取り扱う場合には注意が必要です。
この記事が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。