近年、健康増進や疾患の予防を目的として健康食品への関心が高まっています。
なかには医薬品との相互作用に注意が必要なものがあります。
今回は特定保健用食品と医薬品の相互作用について薬剤師が解説します。
「虫歯予防の特定保健用食品」と医薬品の相互作用
おもな「虫歯予防の特定保健用食品」
虫歯予防の特定保健用食品には、
虫歯菌の栄養素にならない甘味料で、キシリトール、パラチノース、マリチトール、エリスリトールなどがあります。
歯の石灰化を促すものとして、CPP-ACP、リン酸-水素カルシウム、フクロノリ抽出物、リン酸オリゴ糖カルシウムがあり、
虫歯菌の増殖を抑える成分として、
ポリフェノールなどがあります。
キシリトール、パラチノース、マリチトール、エリスリトール等と併用に注意が必要な医薬品
・下剤,高アンモニア血症治療薬(ラクツロース,ラクチトール水和物),α-グルコシダーゼ阻害薬
⇒キシリトール、パラチノース、マリチトール、エリスリトールは難消化性であるため、大量に摂取すると軟便、下痢が発現する可能性があり、薬剤にも同様の作用があるため併用により軟便、下痢が発現しやすくなります。
「お腹の調子を整える特定保健用食品」と医薬品の相互作用
おもな「お腹の調子を整える特定保健用食品」
お腹の調子を整える成分として、
オリゴ糖、ラクチュロース、ポリデキストロース、グアーガム、サイリュム、乳酸菌などがあります。
腸内の善玉菌を増やすことで、
「快便」になり、お腹の調子を整えます。
オリゴ糖、ラクチュロース、ポリデキストロース、グアーガム、サイリュム、乳酸菌等との併用に注意が必要な医薬品
・強心薬(ジゴキシン,ジギトキシン,メチルジゴキシン),脂溶性ビタミン(A、D、E、K)
,鉄製剤
⇒薬剤の吸収が抑制される可能性があります。
・下剤,高アンモニア血症治療薬(ラクツロース,ラクチトール水和物),α-グルコシダーゼ阻害薬
⇒オリゴ糖は難消化性であるため、大量に摂取すると軟便、下痢が発現する可能性があり、薬剤にも同様の作用があるため併用により軟便、下痢が発現しやすくなります。
「コレステロールが高めの方の特定保健用食品」と医薬品の相互作用
おもな「コレステロールが高めの方の特定保健用食品」
「コレステロールが高めの方の特定保健用食品」として、
大豆たんぱく質、キトサン、低分子化アルギン酸ナトリウムなどがあります。
食事からのコレステロールの吸収を阻害します。
「コレステロールが高めの方の特定保健用食品」との併用に注意が必要な医薬品
・脂溶性ビタミン(A、D、E、K),葉酸,β-カロチン,高脂血症薬(イオン交換樹脂製剤),経口避妊薬,脂溶性薬薬(グリセオフルビン,イトコナゾールなど)
⇒特定保健用食品に含まれる成分は胆汁酸と結合する作用をもつため、吸収に胆汁酸を必要とする脂溶性ビタミンや脂溶性薬剤の吸収が減少する可能性があります。
「血圧が高めの方の特定保健用食品」と医薬品の相互作用
おもな「血圧が高めの方の特定保健用食品」
「血圧が高めの方の特定保健用食品」として、
ラクトトリペプチド、かつお節オリゴペプチド、サーデンペプチド、イソロイシルチロシンなどがあります。
アンジオテンシン変換酵(ACE)の働きを阻害することで血圧の上昇を抑えます。
ラクトトリペプチド、かつお節オリゴペプチド,サーデンペプチド、イソロイシルチロシンとの併用に注意が必要な医薬品
・高血圧治療薬(ACE阻害薬)
⇒同様な作用を持つため、一緒に服用することで降圧作用が増強される可能性があります。
・カリウム保持性利尿薬(スピロノラクトン),カリウム製剤
⇒一緒に服用することでカリウム貯留作用が増強され血清カリウム値が上昇する可能性があります。
「血糖が気になる方の特定保健用食品」と医薬品の相互作用
おもな「血糖が気になる方の特定保健用食品」
「血糖が気になる方の特定保健用食品」として、
グアバ葉ポリフェノール、難消化性デキストリン、小麦アルブミン、L-アラビノースなどがあります。
糖を分解する酵素の働きや糖の吸収を抑えることによって、
血糖値の上昇を抑えます。
「血糖が気になる方の特定保健用食品」との併用に注意が必要な医薬品
・糖尿病治療薬 全般
⇒それぞれが糖を分解する酵素の働きを抑える作用を持つため、血糖降下作用が増強され低血糖症状が出る可能性があります。また未消化の糖質が腸内で発酵することによって、ガスの発生が多くなるため腹部膨満感が強くなる可能性もあります。
参考記事⇒ハーブと薬は一緒に飲んではいけない!?【天然植物系サプリメントと飲みあわせをチェック!】薬剤師が解説します。
この記事が少しでも皆さんの参考になれば幸いです。
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